食後高血糖と心疾患
- canimama

- 2023年12月10日
- 読了時間: 4分
食後高血糖があると、血管を攻撃してしまい、傷ついてプラークが出来て、ゆくゆくは心筋梗塞になってしまいます。
しかし、一般の検診では、糖尿病に「なってしまっているか、予備軍か」は分かっても、その前段階の食後高血糖の検査はしません。
この時期に分かって対策し始めれば、心筋梗塞や脳梗塞、各種血管障害が防げるのですが、今の検診では見つけられることはありません。
でも今はいい機械を自分で購入して、食後高血糖があるかどうか、見ることが出来ます。
検診で見つかるまで放置していては、その間に血管が死んでいってしまいます。
家系の方はご注意してください。
家系の方は、必ずなりますので。
早めに対策しましょう。
下記は、糖質制限食の第一人者の、
京都高雄病院の江部康二先生のブログです。
添付させていただきます。
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おはようございます。
糖質を食べると食後血糖値は必ず上昇します。
しかし、インスリン作用が正常なら、血糖値の上昇はコントロールされるので
食後高血糖にはなりません。
この食後高血糖(IGT)という言葉は、結構よく使用します。
では、正式な「食後高血糖」の定義はご存知でしょうか?
シンプルに、食後2時間血糖値が140mg/dl以上あれば、食後高血糖です。
国際糖尿病連合によれば、
食後1~2時間の血糖値が160mg/dl未満が目標です。
食後2時間血糖値が、200mg/dlを超えたら、「糖尿病型」ですので、
具体的には「食後高血糖」とは、
食後2時間血糖値が、140~199mg/dlの間の数値をさすこととなります。
若年正常人では、食後血糖値が140mg/dLを超えることはほとんどありません。
そして、食後2~3時間以内に食事の前の値に戻ります。
食後1時間血糖値が180mg/dlを超えていると、食後2時間血糖値が140mg/dl未満で正常でも、
将来糖尿病になりやすいことがわかっています。
40代~50代になると、普通に糖質を摂取して1時間後血糖値が
180mg/dlを超える人が増えていきますので要注意なのです。
糖質制限食なら、食後1時間値が180mg/dlを超えたり
食後2時間値が140mg/dlを超えることはまずないので、
将来の糖尿病発症が予防できます。
糖尿病前段階の食後高血糖が何故問題になるかというと、
心筋梗塞などの合併症リスクが結構あるからです。
日本人を対象に実施された大規模研究「舟形町コホート」(☆)でも、
食後血糖値が高めの耐糖能異常(IGT)は
心血管死および総死亡のの危険因子であることが示されました。
すなわち「食後高血糖(糖尿病予備群・IGT)」は糖尿病前段階ですが、
死亡リスクが上昇することが日本人の研究で確認されたということです。
一方、空腹時血糖値が110~125mg/dlで食後高血糖がないタイプ(IFG)は
総死亡と心血管死について、
正常型群と優位差がありませんでした。
*IFG:空腹時血糖値やや高値、110~125mg/dl
*IGT:食後高血糖、食後2時間血糖値が140~199mg/dl
このように同じ、境界型の糖尿病予備群でも
「食後高血糖(IGT)」と「空腹時血糖障害(IFG)」
では、死亡リスクが全く異なることが、舟形町研究で明らかとなりました。
げに「食後高血糖(IGT)」、恐るべしです。
なお、通常の健康診断では、糖尿病に関しては、
空腹時血糖値とHbA1cしか検査しません。
①空腹時血糖値正常、HbA1c正常、食後高血糖なし。→質のいいHbA1c
②空腹時血糖値正常、HbA1c正常、食後高血糖あり。→質の悪いHbA1c
現実には、①と②のパターンがあります。
②の質の悪いHbA1cパターンの場合は、「食後高血糖」と「空腹時低血糖」の平均値が
示されており、「平均血糖変動幅増大」もあるので合併症リスクが大きいです。
従来の糖尿病食を食べて、インスリンやSU剤で血糖を下げようとした場合、
②のパターンが多いです。
実際、糖尿病合併症(透析・切断・失明)は減少していません。
一方、①のパターンは、スーパー糖質制限食で、薬なしで、血糖コントロールを
目指した場合です。
こちらは合併症リスクがありません。
②のパターンの場合は、食後高血糖はほぼ確実に見逃すこととなりますので
合併症を防ぐことは困難です。
ご用心、ご用心。
(☆)参照
糖尿病ネットワーク
2016年09月12日
Funagata Study(2)
舟形町研究
図1:NGT群、IGT群、糖尿病群での累積生存割合(生命表法による)
A: 総死亡についての累積生存割合
IGT群、糖尿病群、どちらもNGT群と比較して有意に低い
B: 心血管疾患(冠動脈疾患と脳卒中)による死亡についての累積生存割合
やはりIGT群、糖尿病群どちらもNGT群と比較して有意に低い
死因を心血管疾患に限定した結果が図1Bです。追跡期間終了時点での各群の累積生存割合はNGT群で0.988、IGT群で0.962、糖尿病群で0.954となり、やはり両群ともNGT群より有意に低下していました。NGT群と比べて、IGT群では4年目から累積生存割合が有意に低下しており、総死亡の場合と比べて2年早く有意な差がついていました。
江部康二



